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1935レプリカ
【A】
【A’】
 2007年12月に市販が開始された1935レプリカ。【A】

 インサイドユニットは、
 チムニーホールが8穴で且つホィールリベットが中空タイプという
 1935年当時のインサイドユニット外観を模した、
 1935レプリカ専用のものとなっています。

 ボトム刻印としては2007年8月製(H)が
 一般市販品の最初期のものとなります。【A’】
【B】
 左の1935レプリカは、
 2002年秋にZIPPO社でスタートした1935プロジェクトの
 プロトタイプとして生産されたもの。【B】

 【A】の一般市販品に先駆けてプロトタイプとして販売されたもので、
 ボトム刻印には「Z−SERIES 2007」と、
 専用のものが使われており、チムニー8穴&中空ホィールリベットの
 1935レプリカ用インサイドユニットも、上記市販品より古い
 2007年4月製(D)が装着されています。
【C】
 さて、左の1935レプリカ。
 上の【B】と同様にボトムに「Z−SERIES」の刻印がありますが、
 製造年刻印は「2003」となっており、
 1935レプリカプロジェクトの検討過程で試作されたものだと
 思われます。【C】


 ちなみに、画像は載せていませんが、インサイドユニットには2003年4月製の
 1941レプリカ用(チムニー7穴&中空ホィールリベット)のものが装着されていました。
 【C】 【B】 【A’】
 左画像は、左から順に【C】【B】【A’】です。
 1935レプリカの最大の特徴である3バレルアウトサイドヒンジは、
 3つとも同じ形状のものが使われていますが、
 ボトムケースの丈の高さが異なります。
 2003年刻印のZ−SERIESである【C】は、
 2007年刻印Z−SERIESの【B】及び市販品の【A’】より
 丈がやや高く作られています。
 (ちなみに、右画像のボトム刻印は上から順に【C】【B】【A’】です。)
【A】
【C】
 又、【C】は、ケースのコーナー部分の形がややラウンドしており
 (右画像)、【A】や【B】ほど角ばっていません(左画像)。

 その他にも【C】は、表面のブラッシュ加工の仕上げ方、
 ダイアゴナルラインの長さや位置など、
 市販品や2007年製Z−SERIESと異なる点が多々あり、
 1935レプリカプロジェクトの検討過程で様々な試行錯誤が
 行われた様が伺えるレアな逸品だと思います。

ニッケルシルバー?(その1)
 このZIPPO、表面が飴色で、一見ニッケル製のZIPPOに見えます。
 上段は1946年前期のニッケルシルバー素地仕上げZIPPO。
 下段は1946年後期のニッケルシルバークロムメッキ仕上げZIPPO。
 中段がくだんのZIPPO。確かに表面の光沢はニッケルシルバー特有
 の輝きです。
 でも1946年前期には、このタイプのボトム刻印はない筈・・・。
 左が46年前期の素地仕上げ、右が46年後期のクロムメッキ仕上げ。
 どちらも丈は58mm。
 中央にあるくだんのZIPPOは明らかに丈が低い。
 ということは1947年後期以降の筈。
 まさか、47年後期以降もニッケルシルバー素地仕上げが
 存在していたのか!?
 1947年後期のニッケルシルバー製ZIPPOのクロムメッキを全て
 取り去ると素地仕上げ風の57mm丈ニッケルシルバー製ZIPPOに
 なりそうですが、ニッケルシルバー製なら、ボトムケース内側の色は
 銀色の筈。でも、このZIPPOのボトムケース内側の色はブラス色!
 一体どうなってるんだ〜!

 別にどうもこうもなく、
 1948年〜1949年前期のニッケルメッキ3バレルブラス製ZIPPO
 です。ZIPPOショップのMAX CADYSさんで売られているのを見て、
 衝動買いをしてしまいました。
 でも、ニッケルメッキの3バレルブラス製ZIPPOってレアでしょ?

ニッケルシルバー?(その2)
 このインサイドユニット、
 刻印特徴を見る限り、1953年〜1956年に使用された
 ステンレススチール製のインサイドユニット、
 所謂「フルスタンプ」のインサイドユニットに見えます。
 写真の左に写っているのは磁石です(因みにこの磁石、別の検証で
 使用したものと同じもの
です)。フルスタンプのインサイドユニットで
 あれば、ステンレススチール製ですので磁石がくっつく筈ですが、
 左の写真のようにこのインサイドユニットには磁石が付きません。
 繰り返しになりますが、PAT番号が2517191のフルスタンプ刻印を
 持つインサイドユニットはステンレススチール製というのが定説です。
 一体、このインサイドユニットは何なのでしょう?
 また、材質は何でできているのでしょう?

【製造時期の検証 その1】
     外観を見る限り、刻印特徴、中空タイプのフリントホィール、波状のカムスプリング、チムニー穴は片面8個など、
     1953年〜1956年に使用されたステンレススチール製のインサイドユニットです。
     でも、よく見ると、インサイドケースの張り合わせ部分の溶接に特徴がありました。
     上の写真のように、スポット溶接の箇所が「2点」になっています。
【A】
【B】
【C】
 左の写真【A】は、1953年〜1956年に使われた、所謂フルスタンプのインサイドユニットの側面写真です。
 該当期間内で溶接方法が変更になっている可能性、或いは製造工程にバラつきがある可能性があるので、
 同年代のものを5個並べました。【A】は、全体がノッペリと溶接されているように見えますが、よく見ると3点溶接になっており、
 くだんのインサイドユニットのような2点溶接ではありません。それ以前のインサイドユニットに遡って同様に見てみました。
 【B】は1951年後期〜1953年初期のPAT.2032695を持つステンレススチール製インサイドユニット、
 【C】は1947年後期〜1951年前期のニッケルシルバー製インサイドユニットです。
 これを見ると、【B】と【C】はくだんのインサイドユニットと同じ2点溶接です。
 (但し、厳密には【B】の写真の右端にあるインサイドユニットは3点溶接になっており、
 Bの時期(1951年後期〜1953年初期)の途中から3点溶接になったと推測できます。)
 このことから、くだんのインサイドユニットの製造年は、1953年〜1956年ではなく、それ以前の可能性が高そうに思われます。

【製造時期の検証 その2】
更によく見てみると、カムスプリングの長さが上の写真のようになっていました。
【A】
【B】
【C】
 上で取り上げた3世代のカムスプリングについて同様に見てみると、
  【A】は、5個ともくだんのカムスプリングと同じ長さ。
  【B】は、5個のうち、4個は同じでしたが、1個(写真の左端)は長さの長いカムスプリングでした。
  【C】は全てくだんのカムスプリングよりも長い(Bの左端と同じ)ものが使われていました。
 このことから、【B】の時期、つまり1951年後期〜1953年前期よりも後の可能性が高いということになります。
 上記2つの検証結果から、
  1.インサイドケースの張り合わせ部分の溶接特徴から1953年以前の可能性大
  2.カムスプリングの長さから、1951年以降の可能性大
 また、PAT.2517191が使用されるのは1953年からですので、
 これらを総合すると、1953年初頭に作られた、或いは1952年の末頃テスト的に作られたのではないかと思われます。
              【材質の検証】

 磁石に付かないので、スチールではないのは確かですが、
 材質がわかりません。見た目の色は、ニッケルシルバー特有の
 「飴色」ではなく、ステンレススチール製の「シルバー」に見えますが、
 若干黄ばんでいるかなぁという感じです。
 取りあえず“体重測定”をしてみました。
 レーヨンボール・フリントスプリング・フェルトパッドなどを全て外し、
 チムニー内側などをクリーンアップした上で量ったところ、26gでした。
【A】


【B】


【C】
 上で取り上げた3世代のインサイドユニットについても、
 同様に量ってみました。
【A】は、5個のうち3個が24g、2個が25gで、平均24.4g
【B】は、5個のうち1個が24g、2個が25g、2個が26gで、平均25.2g
【C】は、5個のうち3個が28g、2個が29gで、平均28.4g
 くだんのインサイドユニットの重さは26g....
 スチール製のA・Bよりは重く、ニッケル製のCよりは軽いという結果に
 なりました。デジタル秤の誤差も考慮に入れる必要はありますが、
 A・B・Cどの時期のインサイドユニットとも異なる重さということに
 なります。一体、このインサイドユニットの材質は何なのでしょう?

 因みに、ニッケルの比重は8.9、鉄の比重は7.9なので、ニッケル製
 であるCの平均が28.4gならば、スチール製のインサイドユニットは
  7.9÷8.9×28.4g=25.2g
 と理論上はなります。しかし、実際には、スチール製のフリントホィール
 やカム、真鍮製のフリントチューブなど、インサイドケース以外の
 パーツがあり、又、時代によりそれらのパーツの微妙な変化もある
 ため、必ずしも理論通りにはなりません。それでも上の例では
 Bの平均が25.2gとなっており、一応理論通りになりました。

 1946年以降、ZIPPOのインサイドユニットに採用された材質は、
 ニッケルとスチールですが、それ以前まで遡れば、1933年〜1941
 年までのインサイドユニットの材質はブラス製(=非磁性)でした。
 ブラス(=真鍮=銅と亜鉛の合金)の比重は、銅と亜鉛の比率にも
 よりますが、8.5前後です。これは、ニッケルと鉄の中間の比重です。
 上の重量計測でくだんのインサイドユニットの重量が、スチール製で
 あるA・Bとニッケル製であるCの中間だったことを考えると、くだんの
 インサイドユニットの材質は「ブラス」なのでは?と考えました。しかし、
 この時代(1950年代)にブラス製のインサイドユニットが作られたと
 いう話は聞いたことがありません。でも、どうしても気になったので、
 くだんのインサイドユニットの目立たないところを断腸の思いで削って
 みました。もしブラス製なら、メッキの下から黄銅色が出てくる筈。
 ....しかし、黄銅色は出てきませんでした。出てきたのはシルバー
 でした。 ん?待てよ、ボトムケースの材質がニッケルシルバー製か
 ブラス製かを判別する時、ケースの内側を削ってシルバーが見えれば
 ニッケル製と判別できた(この件の詳細はこちら)...ということは、
 やはりくだんのインサイドユニットの材質はニッケル製なのでは・・・・?
 いやいや重量から考えてそんな筈はないし、色も飴色ではないし・・・・
 さらにこのインサイドユニットをいじくり回していたところ、何と! 
 所謂「プレート」部分の材質のみ何故かスチール製でした。初めは
 フリントホィール(=スチール製)に磁石が反応したのかと思ったの
 ですが、間違いなく、プレートにくっ付きます(左の写真は、磁石が
 プレート部分にくっ付いている様子です)。プレートは、インサイド
 ユニットの天面部分に溶接されている部品で、カムスプリングが
 取り付けられたり、チューブインサートが顔を覗かせたりしている
 板状の部品です。しかし、そうなると、先ほどの重量の問題は少し
 異なってきますニッケルよりも軽い材質であるスチールが部分的に
 使用されている訳ですから、総重量がニッケル製の28.4gよりも
 軽くなるわけです。でもインサイドユニット全体に占めるプレートの
 割合はさほど大きくないので、いくらプレートがスチール製だからと
 いって、26gまで重量が減るとは考えられませんが・・・・
 一応これを受けて、今度は“身長測定”をしてみました。面積辺りの
 重さから計算したとき、ニッケル製のインサイドユニットにスチール製
 のプレートが取り付けられていたら、どのぐらいの重さになるかを
 計算してみました。(体積が同じであることが前提ですが)
 まず、インサイドユニット表面の凡その面積は
 ・ケース部前後 :3.3cm×3.6cm×2=23.76cm2
 ・ケース部サイド:3.3cm×1.2cm×2=7.92cm2
 ・チムニー部前後:1.6cm×1.8cm×2=3.52cm2
 ・チムニー部サイド:1.6cm×1.1cm×2=5..76cm2
 ・プレート部  :3.6cm×1.2cm=4.32cm2
   合計 45.28cm2

 よって、全体に対するプレート部の割合は4.32÷45.28=約9%。
 インサイドユニットに取り付けられている部品(フリントホィールや
 カムなど)の重量はわからないので、全部まとめて5gとしました。
 もし、くだんのインサイドユニットの基本材質がニッケルだとして、
 プレートのみスチールであれば、ニッケルに対するスチールの比重は
 0.88なので
 {(28.4g−5g)×91%}+{(28.4g−5g)×9%×0.88}=23.1g
  23.1g+5g=28.1g

 元の28.4gよりは若干軽いという結果になりますが、
 26gにまでは減りません。
 製造年はおよそ推定できましたが、材質については明確な答えを見出すことはできませんでした。
 何らかのメッキが施されたニッケルのような気もしますが、これを検証するには、表面を数ミクロン削り取る必要があり、
 勿体なくてできません。(^^ゞ  また暇を見つけて検証してみたいと思います。

ZIPPO社創業20周年記念?
 ZIPPO社創業記念ZIPPOは、
 1957年の25周年以降、40周年、50周年、
 (日本企画で55周年)、60周年、
 それ以降は5年おきに製造されています。
 日本人の感覚では、
 なぜ25周年記念ZIPPOがあるのに
 20周年がないの?という感想を持ちますが、
 英語圏にはクォーター(1/4=25/100)という単語が
 わざわざ存在しているように、アメリカ人にとっては
 20よりも25の方が区切りが良いからではないか
 と思います。
 (米ドルにも1ドルの1/4に相当する25セント硬貨があります。)

創業20周年
記念ZIPPO?
創業25周年
記念ZIPPO
 20周年記念ZIPPOは製造されていない
 というのが通説ですが、
 ヴィンテージZIPPOのネット販売を行っていた
 MAX CADYSさんでかつて「創業20周年ZIPPO?」
 として販売されたことがありました。
 「20th Anniversary」の文字が、
 創業25周年ZIPPOで使われている
 「25th Anniversary」の刻印に酷似しているから
 という理由で20周年記念ZIPPOであろう
 と推察されていました。
 その際は、確かクローズドのオークション形式で
 販売されましたが、
 かなりの高値が付いたと記憶しています。

 左のZIPPOはその時MAX CADYSさんで
 購入したものではありませんが、同型のもので、
 イギリスで入手したものです。
 「〜周年」を表す「th」が下線付きで
 数字の右上に配置されていることや
 グニャと曲がった「A」の形などは
 確かに25周年ZIPPOの刻印と似ています。
 また、ZIPPO自体の材質はスチール製であり、
 ボトム刻印は1951〜1952年頃のものですので、
 ZIPPO社創業20周年目にあたる1952年頃に
 製造されたものであることは間違いありません。
 真偽のほどは?

中空ピン
                 
 
ZIPPO社でヒンジを修理してもらうと、ヒンジピンが、
 中空ピンとかロールピンなどと呼ばれる、中が空洞になったピンに
 交換されることがあります。ヴィンテージ物では時々目にしますよね。
 (上の画像は、左の1973年製#200ZIPPOの拡大写真です。)
  
                 
 左のZIPPOは1988年製#200ZIPPO。
 ヒンジピンに中空ピンが使われています。近年物でこの中空ピンが
 使われることって、珍しいと思うのですが、どうなんでしょう?

PAT番号がない1966年製刻印のZIPPO
   ZIPPOのボトム刻印からPAT番号がなくなるのは1967年8月から。
それまでは「PAT.2517191」の
刻印がある筈です。
しかし、左のZIPPOは1966年製
刻印なのに、PAT番号がありません。


右は、PAT番号がある通常の
1966年製ZIPPO。ボトムケース内側から見ると、PAT番号が彫られている辺りが凹んでいます。
一方、左は、PAT番号がない
1966年製ZIPPOですが、ボトムケース内側にそれらしき凹みが見当たりません。クロムメッキを分厚く施してPAT番号を消したのではなく、元々PAT番号が刻印されていないようです。
では、このZIPPOはいつ製造されたのでしょう?
 
@
1967年前期
PAT番号 有
A
1966年刻印
PAT番号 無
B
1967年後期
PAT番号 無
左の3つのZIPPOは全て“SYRIA TEMPLE”(オークランドにあるイスラム教のモスク)のZIPPOです。おもて面には
   SQUIRE T.MAIR
    POTENTATE
   SYRIA TEMPLE
      1968
の刻印、裏面には当モスクの絵が描かれています。
#250をベースにしたこの3つの
ZIPPO、おもて面の刻印にあるように1968年の関係者配布に向けて発注され、その時点でZIPPO社にあった#250のストックにエッチングが施されたと思われます。
通常この手のものはワンロッド
生産です。
この3つのZIPPO、左から順に
 @1967年前期刻印(PAT番号有)
 A1966年刻印(PAT番号無)
 B1967年後期刻印(PAT番号無)
です。
@からBに切り替わる途上で、ごく一時期のみAのイレギュラー刻印が使われた(混入した)のではないかと考えられます。

イニシャルサービスの梱包明細票(Packing Slip)
  1930年代から行われていたZIPPOにイニシャルを入れるサービス。イニシャルが入ったヴィンテージZIPPOは実際によく見かけると思います。左の画像は、ZIPPO社がイニシャル入りZIPPOを返送する時に封入していたイニシャルサービスの明細票(Packing Slip)です。同じ明細票でも修理品返送用のものはオークションなどで時々見かけますが、イニシャルサービスの梱包明細票は捨てられてしまうことが多いためか、目にすることは殆どないのではないかと思います。

郵政省のZIPPO
警視庁の「桜のご紋」が貼り付けられた
ZIPPOは時々見かけますが、
郵政省の「郵便マーク:〒」がエッチング
されているZIPPOはあまり見かけない
ような気がします(?)。

Dolphin−Zippo Aquarium
  Dolphin−Zippo Aquarium(休館)の館長であるTAKE様から
頂いた、水族館開館4周年記念オリジナルZIPPO。

       Special thanks to Mr.TAKE!

ん?!
【A】
 
 左の【A】のZIPPO、どこにでもありそうな、当たり障りのない
 デザインのZIPPOです。
 1989年10月製で、フラットボトムなので、
 所謂“日本加工品”と思われます。
 でも、よく見ると、筆記体で書かれた「コンテンポラリー」の
 綴りが「Conteporary」になっている!
 正しくは 「Conteporary」ですね。
 まぁ、日本加工品なので、その程度はご愛嬌ということで。
【B】
 
 こちらの【B】のZIPPOは、
 上のZIPPOと同じデザインのキャンドボトム。
 製造年も同じ1989年製です。キャンドボトムなので、
 US加工品と思われます。
 しかし、よく見ると・・・・
 これも「コンテンポラリー」の綴りが間違ってる!
 なぜこんなことが起きたのか、理由は色々と想像できますが、
まぁ、これもおおらかなZIPPO社のクオリティということで。(^_^;)

Rare?